花ぷら

花ぷら13(2012/7)

「花ぷら」とは、もともと「花馬 米(はなうま・べい)のハワイぶらり一人旅」と呼んでいた、筆者の一人旅の様子をご紹介する旅行記です。略して「花ぶら(hanaBura)」。それが「花ぷら(hanaPura)」となりました。じつは 2011 年の 11 月にも渡布はしているのですが、この「花ぷら」に馴染むような内容ではなかったので、このサイトでは割愛しております。
今回は、4泊6日という典型的な旅程でしたが、旅先の H.I.S. ラウンジで、会社の上司たちと偶然出会うというハプニング?があり、半分社員旅行のような旅となりました。

2012年7月11日、水曜日。
水・木・金と会社を休み、土日の休み、そして月曜の「海の日」と合わせて6連休とし、今回のハワイ旅行にこぎつけた。
今回もまた出発直前まで、ハワイへ行けるかどうかの調整がつかなかったため、勤務先近くの旅行代理店 H.I.S. に駆け込んだときは、出発の2~3週間前という状況だ。とりあえず、エアチケット(航空券)だけでも確保し、最悪は現地で宿を探そうと考えていた。
このタイミングではめずらしく、飛行機が確保できた。チャイナエアラインである。この航空会社は初めての体験だが、実はよいイメージはあまりない。というのは、ネットの口コミ掲示板などで、あまり評判がよくないということもあるし、いまだに名古屋空港(現在の名古屋飛行場)での墜落事故のことが思い返されるからでもある。

【中華航空140便墜落事故】
1994年(平成6年)4月26日に、名古屋空港(現在の名古屋飛行場)で発生した墜落事故。
当時チャイナエアラインは「中華航空」と名乗っていたが、この事故の翌年、「チャイナエアライン」と名称を変えた。
この事故では乗客乗員あわせて271人のうち264人が死亡する大惨事となった。直接の原因は着陸時の飛行姿勢が、考えられないような状態(機首を上にしてほぼ垂直になってしまう)となり、失速して墜落したことによる。これは、「ゴーアラウンドモード(着陸復航モード)」と呼ばれる、着陸をやり直す際の状態に自動操縦装置がセットされたまま、無理やり手動で着陸操作を行ったことによる。
「人間は過ちを犯す。だから最後までコンピュータが制御して安全を確保するべき」というフランス・エアバス社の設計思想と、「いつでも操縦士の意思を反映できるよう、最後は人間がコントロールすべき」という米国ボーイング社の設計思想について考えさせられたことを思い出す。

Wi-Fi ルータを空港で借りようと、電車を降りてすぐの窓口で訊いてみる。ウェブ予約をしておこうと数日前から気には留めていたのだが、ついぞ、ウェブ予約をする機会を持てなかったからだ。
インターコミュニケーションズ社が提供する、この Wi-Fi ルータは、海外の渡航先で LTE などの高速無線通信を行い、ユーザの PC やスマートフォンに、Wi-Fi (無線 LAN の電波)環境を提供する機器である。つまり、携帯電話でいうところの 3.9G/4G 電波をキャッチし、これを Wi-Fi の電波に変換して「吹き出し」てくれるので、渡航先のモバイル環境でも、高速通信が利用できるのである。
しかし、残念ながら借りることは断念した。ウェブ予約なら1日あたり 980 円なのだが、予約なしで空港に来て借りると、なんと1日あたり 1,580 円にもなるのだ。しかもハワイ旅行の場合、たとえば4泊6日行程だと単純に6日間レンタルの計算になるので 9,480 円にもなってしまう。
ハワイ現地では、1日だいたい13ドルを切るぐらいの価格でレンタルサービスが提供されているので、5日間で65ドルとなり、ざっと6千円を切ることになる。


チャイナエアラインは、成田空港の第2旅客ターミナルビルにチェックインカウンタを設けている。
搭乗便は CI0018、チャイナエアラインの18便である。出発時刻は20時だから、その2時間前の18時ころに空港に着き、あまり寄り道せずにチェックインカウンタへ向かったのだが、すでに長蛇の列が、文字通り蛇のように幾重にも折れ曲がって続いている。どうやら17時ころからチェックインを受け付けていたようだ。
ほとんど最後のほうの客としてカウンタにたどり着いたころには、座席の希望を受け付けてもらえる状況にはなく、窓側の座席となってしまった。トイレへ行く時の出入りにちょっと気を使う席である。

※ 上記成田エクスプレスの写真は2011年9月4日に撮影したものです。


保安検査場と出国手続きを通り抜け、ゲート 71 へ進む。
見ると、ゲートのすぐそばの席には、搭乗客ではなく CA(客室乗務員)の女性たちやパイロットと思しき制服の男性たちが座っている。クルーたちが一般客と同じエリアで待っている様子は、初めて見たような気がする。
それにしても彼らのほとんどは、「スマホ」に夢中な様子だ。
機に乗り込むと、ボーイング 747-400 型機という往年のモデルにもかかわらず、室内は新しい。B-747 型機は今でも生産をしているというから、機体そのものが新しいのかもしれないし、そうではなく内装をつくりかえたのかもしれない。

私はもちろん、エコノミークラスに座っており、窓側席に「押し込め」られた状態ではあるが、それほど窮屈さは感じない。隣の男性が太っていないこともあるが、やや丸みを帯び、くぼみなどをもつシートのデザインも関係があるかもしれない。レーシングカーの世界でも有名な RECARO 社製のシートだ。
目の前にある液晶モニタは、ややサイズが大きく、音楽や映画、ゲーム、観光地の情報、運行状況の確認などがひと通りできる。アームレストの内側に格納されているコントロールパッドを取り出して操作できるのはもちろん、液晶モニタにタッチして操作することも可能である(各アプリケーションによってやや違いはある)。USB のジャックもついている。

ヘッドフォンはリユース品なので薄いビニールの袋に入っているのだが、表記されている文字が興味深い。なんとなく意味が理解できて面白い。
ところで「チャイナエアライン」は中国の航空会社ではない。台湾の会社だ。航空管制を行う無線通信では、「DYNASTY(ダイナスティ)」というコールサインで呼ばれる。いま私が乗っているチャイナエアライン18便が呼び出されるとき、必ず最初に「DYNASTY 18(ダイナスティ、ワン、エイト)」とコールされるのである。
ちなみに ANA のコールサインは ALL NIPPON(オールニッポン)であり、日本航空は JAPAN AIR(ジャパンエア)である。ご存じのとおりアメリカ合衆国大統領専用機のコールサインは AIR FORCE ONE(エアフォースワン)である。
機内ヘッドフォンのプラグは、左右のチャンネルごとに独立した「2本挿し」タイプである。
なお写真の右端のピンは、私が持参したヘッドフォンのステレオプラグである。iPod Touch などのジャックにぴったり合う「ステレオミニφ3.5(さんてんごふぁい)」タイプである。


さきほどチャイナエアラインの良い評判を口コミ掲示板などで見かけない、と書いた。
しかし同時に、このような投稿は「バイアス」がかかったものではないかとも思っていた。また、わざわざ投稿するという行動を起こす動機になりやすいのは、どちらかというと不愉快に感じた場合が多いだろうから、やはり何の批判や検証もなしに(特にネット上の)情報を受け入れるのはよくないと思っていた。ましてネット掲示板などの場合、情報の信頼性というより「投稿」そのものが活発に行われるサイト(ページ)ほど、検索結果の上位に来てしまいやすいという面もある。
結論を言ってしまえば、少なくとも今回の往復のフライトにおいては、何の問題もなかった。むしろ全体的に印象のよい客室サービスであったし、チェックインから到着まで、なにも不満はなかった。ネット検索の上位に来るものが、世界の真実を表しているわけではない。不確実な情報の拡大再生産である場合もあるのだ。

【教えてサイト】
ここで思い浮かぶのが、日常の疑問や質問について会員が投稿し、会員が答えてくれる種類の「ナレッジコミュニティ」サイトだ。会員でなくとも、質問と回答は閲覧可能なため、参考にしている人は少なくないと想像できる。
私がときどき気になるのは、「詳しい人」が回答し、質問者が納得して完結している項目である。その分野の専門家や、現在その分野でメシを食っている立場の人間から見ると、間違ったことがまことしやかに書き綴られ、質問者が納得と感謝の言葉を述べて終わっているパターンである。
また、述べていることの真実性や確度とはまったく別に、記述する文章のレベルも、少なからず影響がありそうだ。たとえ真実を述べていたとしても、文章の記述が稚拙だと信頼性がなさそうに映るし、内容に正確さを欠いていたとしても、文章や論理構成がきちんとしていれば、専門的な人による正しい回答と感じてしまうこともありあえる。
インターネットやその周辺の技術・サービスは、人類の大きな進歩のひとつであるといって過言でないと思うのだが、これだけに頼って生きていくのは、とんでもなく危険なことであると思う。

台湾の航空会社チャイナエアラインが、客室乗務員に対して日本語の教育をしているようすを、BS 日テレの番組「世界探訪!空港物語~WONDER AIRPORT やしま・ミチコの空辞苑」で見たことがある。
一般に中華圏や朝鮮半島の人が、母国語を習得した後に日本語を学んだ場合、独特のイントネーション、発音、助詞を省略したような発話がみられる。もしかしたらそのような「口ぶり」や一瞬の表情などに、「軽くあしらわれた」「バカにされた」という印象を受けた日本人が、投稿者の中に多くいたのではないか。

このあたりは、文化の違いとしか言いようがない気がする。
たとえば相手の言っていることがよく理解できないとき、どのような表情をするかを考えてみる。アメリカ人などの場合、「ハァ?お前なに言ってんの?」とでも言っているような表情を出す。わからないということを明確に示すためだろうが、日本人にとってはこれが「バカにされた」と感じるのである。
中華圏や朝鮮半島の人が、日本語の会話のていねい表現を、カジュアルな言い方、ごく端的な言い方でしゃべってしまう傾向はよくある。空気が抜けるような発音や、語尾が比較的高い音程で終わってしまう傾向などもあるかもしれない。日本語における幼児語に出てくるような音が混じりがちになることもある。
別に悪意もなければバカにする気もないのだろうが、受け取る日本人によってはこれがズシンと心に響いてくる可能性はある。
お互いに、母国語でない言語を使ってコミュニケーションしているのだということを意識し、ひと呼吸おいて相手を理解してみる心掛けは大切かもしれない。

こんな認識の落差は日本国内でもありうる。たとえば地方から出てきた人が、ときどき都会で感じる、やるせない感覚の違いである。逆に都市部で育った人の感覚が、地方や田舎でしっくりいかない場合もあり得る。そしてそれは、言語レベルで理解しようとしても、とうてい無理がある深い溝であったりさえする。
「その、ものの言い方がカチンと来るのよ」というのは、お互いが同じ文化の上に立っているという前提や認識があってこそ成り立つものだ。どちらが歩み寄って努力、理解するかはケースバイケースだろうが、少なくとも自分も相手も同じハズ、という無意識のレベルにあるものに気づくことには意味があると思う。
まったく同じ日本語の単語であっても、そのバックグラウンドに広がる世界観や、その単語が使われるべき文脈の感覚は、その人の言語発達に影響を与えた環境、つまり出身地や家庭環境などのコミュニティと、それらの歴史によって異なる場合が少なくない。
こんな行き違いを「言語能力の差」と言って決着させてしまうのは、やはり少々乱暴な気がする。


食事の時間になったようで、In-flight Meal(機内食)が配られる。
メニューはチキン、またはイタリアンハンバーグのどちらかから選択する。鳥が苦手な私はハンバーグにしてもらう。ハンバーグはお箸で切れるような柔らかいものではないが、普通においしい。
今回は窓側席に押し込められているせいか、食事の後に客室内が薄暗くなっても、どうも寝付けない。寝酒にスコッチのオンザロックと、スナックを少しもらう。有料ではないようだ。
と、思ったら脈拍と血圧が上がったようで、体が熱くなって眠れない。あらら。

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