花ぷら

花ぷら11.5(2010/2)

「花ぷら」とは、もともと「花馬 米(はなうま・べい)のハワイぶらり一人旅」と呼んでいた、筆者の一人旅の様子をご紹介する旅行記です。略して「花ぶら(hanaBura)」。それが「花ぷら(hanaPura)」となりました。
ときどきタイトルに小数点が付いているのは、一人旅ではなく連れがいるときの旅行記だからです。今回は筆者の母をつれての二人旅です。

この花ぷらシリーズを継続して読んでいただいている方はご存知かと思いますが、じつは2008年の春に、この母とその姉、つまり筆者からみれば母と伯母をつれてハワイ旅行をしています。その時の様子はこちらの「花ぷら10.5」で詳しく紹介させていただいておりますが、その時は母にとってはつらいハワイ旅行でした。なぜなら当時、伯母は要介護2であり、トイレのサポートをはじめいろいろな世話を母がやっていたためでした。そのときから、なんとかして母がゆっくり楽しめるハワイ旅行ができないものかと考えてきました。そしてようやく今回、職場やいろんな方々のご協力をいただいて、平日に旅立つことができたのです。

2010年2月6日土曜日。
平日に特別に休暇をもらうことができ、今日から母と二人でハワイ旅行に出発である。
この2月は11日が建国記念の日であるため、会社の休暇は平日4日分をとらせてもらうことになる。
品川駅を16:50に出発する JR 東日本の成田エクスプレスで成田空港へ向かう。旅行シーズンではないためか車内もすいている。千葉を経由して成田に向かうこの列車は、まず成田空港第2ターミナルビルに近い「空港第2ビル」駅に停車する。今回は JAL 便を利用するので、ここで降りることになる。

じつは今回の旅は、エイチ・アイ・エスのツアーで航空券とホテルを手配している。出発10日ほど前になって慌ただしく準備することになったため、同社のサイトからツアーを選び、電話とメールのやり取りだけで購入したものだ。前回のハワイ旅行でも、同行した私の高校時代の1年先輩のエア・チケットとホテルは同様の手配だった。

こうした電話とメールだけで、短期間にすべてをスムーズに整えるためには、ちょっとしたコツがあると言えるかもしれない。
ひとつはパソコン操作に慣れていることだ。単に電子メールのやり取りができるということだけではなく、旅行会社が指定してくる Excel などの電子書式に的確に入力し、一定のセキュリティを確保したうえで添付ファイルとして送信しなければならない。
もうひとつは的確・迅速なコミュニケーションだ。電子メールはもちろん、携帯電話ですぐに担当者と連絡が取れるようにしておくべきだし、細かい条件にこだわっていては決まるものも決まらずチャンスを取り逃がしてしまうこともあるため、素早く決断してしまう潔さも大切だと思う。こだわっている暇はないのだ。

旅行会社のツアー商品を購入する場合は、参加申込書の提出が必要だが、電子ファイルで行う場合は、Microsoft Excel などの定型フォーマットにパスポート情報などを入力していくことになる。もちろん個人情報などが入力されているわけだから、パスワードをつけるなどの最低限のセキュリティは確保しておきたい。
勤務先などでふだんから Excel を使っているのであれば、申し込み書作成は造作もない作業だろう。


出発までだいぶ余裕はあるが、とにかくチェック・インをしてすぐに食事にしよう。遅めに食べてしまうと機内で最初の食事があまり食べられず、もったいないことになるからだ。まぁもっとも、このへんはかなり個人差のあることかもしれない。

JAL のチェックインカウンタに行くと、となりでチェックイン手続きをしている中年の夫婦がクレームをしている。並びで確保していた座席が、チェックインの段階で「離ればなれ」になってしまうと説明されたようだ。どうやら、エコノミー・クラスからエグゼクティブ・クラスへアップグレードした際に、「並び」ではなくなってしまったということのようだ。係の女性は、「アップグレードの際に、お客様が『並び』を指定されなかった」ことが原因だというような説明をしている。
これに対して背の高い、少々強面(こわもて)の亭主と思しき男性は、「だから、JAL がダメになっちゃうんだよ!」と怒っている。
しかし、どうもこの一件は「こわもて」のほうに賛成だ。手続き的には確かにあらためて「並び」を指定する必要があったのかもしれないが、もともとエコノミークラスで並んでいた客がアップグレードすることに対して、同じリクエストを再度知らせなければならないというのでは、システム側の設計センスに疑問が残る。これでは、指定席券を扱い始めた頃の国鉄と同じレベルではないか。

昨年2009年秋には、燃料さえ購入することができないほどに疲弊し、ついに「倒産」したJAL。
今回は奇しくも JAL 便で往復することになり、そのサービスにどうしても敏感になりがちだ。しかし上げ足を取るような目で、なにかにつけて「だから JAL は」といった話に結びつけてしまっては意味がない。今回はできるだけ公平な目で見ていくことにしよう。

【指定席券を発売し始めた頃の国鉄】
まず若い世代のために解説しておくと、「国鉄(こくてつ)」とは、日本国有鉄道の略称・通称であって、現在のJR各社の前身組織である。そのころ日本の鉄道のメインは国鉄、すなわち政府が100%出資する公共企業体が運営していた。
それで、あらかじめ指定の列車の決まった座席に必ず座ることができる「指定券」を販売していく際、旅行者の心理をまったく考慮しないロジックでの座席割り当てが行われていたことがあった。たとえば、一つの車両の端から順に、機械的に詰めていくような販売である。
不特定多数の人が客室空間に座る場合は通常、平均的な分布で、つまりは他者とのほどよい距離を残しながら席は埋まっていく。こういうことが考慮されていない時代があったのだ。3人で旅行するとき、2人掛けのシートを後ろ向きに転回させ、向かい合って楽しく弁当を広げていると、残りの席に「指定」されていた人が、憮然として着席するなんていうこともよくあったのだ。

【エグゼクティブ・クラス】
一般に旅客機のシートとそのサービスはクラス分けされており、最も安いのがエコノミークラスである。このクラスの記号は Y である。その上のクラスは「ビジネスクラス」と呼ばれることが多い。JAL では「エグゼクティブ・クラス」と呼ぶようだ。このクラスの記号は C である。

【JAL の「倒産」】
2010年1月19日、日本航空(株式会社日本航空、株式会社日本航空インターナショナ ル、株式会社ジャルキャピタル)は会社更生法を申請し実質的に倒産した(プレスリリース JALグループニュース)。
政府が直接救援の手を差し伸べ、企業再生支援機構が支える日本航空。さまざまな情報が飛び交い、難しい言葉や仕組みについてなんだかんだと知識人が話しているが、問題の構造そのものは簡単だ。ようするに商売に失敗した商売人が、権力者にたよってお金を出してもらったり、借金取り(銀行)に回収をあきらめさせた(5215億円の債権放棄)ということだ。このような構造の問題は、戦後50年ころからよく見られるようになってきた。
近所のダメ亭主が酒と女にうつつを抜かした結果一家が破産してしまい、町内会長が、「奥さんや子供たちがかわいそうだ」といってみんなの町内会費を勝手に渡してしまい、なおかついままで金を貸してくれた人々をも、脅しのシステムで黙らせた、というのと本質的に変わりはない。
支援機構はJALの1億7千5百万株をひと株2千円で買い取る方法で、3,500億円の公的資金(税金)を注入した。そして2012年9月19日の再上場の際、ひと株あたり3,790円の値が付き、つまりは約2年半で6千数百億円を回収するという「高利回り」の結果となった。差し引き約3,100億円の儲けである。この儲けは国庫に返納されるわけで、納税者としてはひと安心でもあるが、今後B-787型機を30~40機も購入できる額の法人税減免などが認められていたり、そもそも一民間企業を政府が救済する(税金を回収不能リスクにさらしてまで)ということそのものが、公正な自由競争の面から強く疑問視されている。
100%減資、5,200億円の借金帳消し、そして(税金からの)3,500億円の出資。異常とも思える民間企業への国策保護が、今後どのような結果をもたらすことになるのか注目したい。


チェックイン手続きの後、中二階のようになっているショップ&レストランのフロアへ向かう。有名な日本料理店に入ろうとしたが「うちは全席『喫煙』です」と自信たっぷりに言い切られ、がっかりする。
日本蕎麦の「そじ坊」に入って、1,640円の酒肴セットにする。ジョッキのビールまたはお酒1合と、肴のおかずが数品目、締めの「冷やしたぬき」がセットされていて、ちょうどよい。

今回のツアーはエイチ・アイ・エスで手配したのだが、そのなかでも比較的高額な旅行商品のブランド「プレミアム・チャオ」のなかから選択・調整したものだ。したがって基本的には往復ともビジネスクラス、いやエグゼクティブクラスの利用となる。
「エイチ・アイ・エスは JAL を応援しています」なのだそうで、この時点でエアラインは日本航空インターナショナルと決まった。

【日本航空インターナショナル】
旧来イメージされていた JAL・日本航空の現在の実態。持ち株会社である株式会社日本航空の完全子会社であって、正式名称は株式会社日本航空インターナショナル(Japan Airlines International Co., Ltd.)。JAI とか「日航インター」などと呼ばれることもある。2004 年の JAL グループ再編の時、国際線を受け持つ会社として設立されたが、後に国内線を受け持っていた日本航空ジャパンを吸収し、持ち株会社である株式会社日本航空の下で JAL 便を運航する事業会社となった。
ところで、日本航空ジャパンの前身は JAS 日本エアシステムであり、その前は東亜国内航空である。なつかしや~。
(→日本航空インターナショナル

【JAL ウェイズ】
株主が 100% 日本航空インターナショナルという会社で、おもにリゾート路線の実質的な運航を行っている。タイ人やフィリピン人客室乗務員を積極的に採用するなどしてコストダウンを図ってきた。
(→株式会社ジャルウェイズ

セキュリティチェック、つづいて出国手続きの後、ラウンジへ進む。
エグゼクティブクラスのラウンジは「さくらラウンジ」と呼ばれており、ここのラウンジは奥へ長く延びる空間にソファやテーブルが並んでいる。成田から出発する JAL 便があと数便であるためか人も少なく、暗めの照明で落ち着いた静かな空間だ。
ただ正直に言わせてもらうと、ANA のビジネスクラスラウンジより全体にやや見劣りがする。備えられているドリンク(アルコール類を含む)や食べ物も、少しバラエティに乏しい。PC ユーザにはありがたい設備が整えられているし、愛煙家のための空間もしっかりしている。ただそれらがすべて「大きいことはいいことだ」的なコンセプトに貫かれているような感じで、「ムダに充実」している。

ラウンジでは自社便の出発案内が放送されるので、時間までのんびりくつろぐことが可能だ。
我々が乗る JO72 便の「1時間前」をホノルルに向かって飛行する JO74 便の出発が遅れている。どうも、ある区画の客席の読書等が、点きっぱなしのまま消灯しないという不具合らしい。搭乗開始を遅らせ修理を試みていたようだが、けっきょくアイマスクを該当座席の乗客に配るということで、点灯状態のまま出発させることにしたようだ。

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